パースペクティブによる像の歪みとは

 広角レンズで集合写真を撮ると端のほうの人の顔が太ったり、斜めに伸びて写ることが良くあります。歪んで写るので、よく歪曲(=ディストーション)と勘違いされますが、全く別の原因で発生し、それは立体物を平面に写す過程に現れます。

 前述のとおり広角レンズで顕著になるので広角歪みとも言われています。

像の歪みを解く

 図1では、まず被写体を球としてピント面に球の中心があったと仮定します。このときレンズの中心から見て被写体がピント面に射影した像がレンズを通して結像面に結像します。ピント面と結像面のそれぞれの像は相似なので、ここではピント面の射影像を考えることにします。

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       図1 立体物(球)の射影像について

 

 球の半径をrとした場合、角度θの方向にある球のピント面の射影像は直径2rの円ではなく、ピント面の左右方向に延びて、長径がd1+d2の楕円になります。

 以下、d1+d2について、レンズからピント面の距離a、球の半径r、球の方向の角度θで表される一般式を計算します。

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  正確には式1のようになりますが、式1の右側の部分は半径rに対して距離aが十分に大きければ分母も分子も1に近づき、全体としても1に近づくため、式2のようにずっと簡単にすることができます。実際の場面では式2でも十分な精度があります。

計算例

 図2に焦点距離24mmのレンズで撮ったときの像の歪みを示します。最近はコンパクトデジタルカメラでも24mm相当スタートのものが増えてきました。奥行きのないところでも広く撮れるので、集合写真等に使いやすくなりましたが、けっこう歪むので注意が必要です。

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     図2 24mmレンズの画角での歪み

 

 図3は焦点距離35mmのときです。24mmよりは小さいですが、端のほうはそれでも、歪みが目立つかもしれません。

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     図3 35mmレンズの画角での歪み

 

実写

 図4、5は35mmレンズによる実写の例です。図4は背景から解るように、ディストーションはわずかです(データ上は最外周で-1.2%)。

 しかし、パースペクティブによる歪みによって、顔は斜めに伸び、全体的に太って見えます。図5は顔の拡大です。

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      図4 35mmレンズによる歪み

 

 

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     図5 35mmレンズによる歪み(拡大)


 図6、7は同じレンズで縦位置に撮ったものです。顔は画面中央にちかく、たぶんそれでも多少は縦方向に伸びているのですが、印象がスリムになり、より自然になっています。

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     図6 35mmレンズ 縦位置にすると目立たない

 

 s2DSC00529.jpg      図7 35mmレンズ 拡大

 

終わりに

 実はこの歪みは、撮っているときと鑑賞しているときとで角度が違うために起こります。写真を拡大して、撮ったときと同じ画角になるように鑑賞すれば、歪みは感じません。